利根川水系の西側を流れる神流川(かんながわ)は埼玉県と群馬県の県境になりますが、流域に沿う主要幹線道路や街道筋、中心街が主に群馬県側を走っているため、今回は群馬県藤岡市というカテゴリーで紹介させていただきます。

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 山々に囲まれた鬼石の町は庭石として人気の高い三場石の産地として栄えています。その奥、下久保ダムの手前に廃校、譲原小学校跡が残っています。

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 神流川流域には譲原小学校の他にも幾つかの廃校跡が残っていますが、あいにく一時間に一本有るか無いかの路線バス移動なため、回ることは出来ませんでした。唯一ここだけはバス停降りてすぐの場所に建っています。

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 校舎裏に廻ってみました。この見事な木造校舎は1934年築、1975年の廃校まで使われていました。

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 割れたガラス窓は無かったため傾いて出来た扉の隙間にiPadを差し込んで内部を撮影。iPad薄くて良かった!廃校から41年もの年月が経とうとしているにも関わらず、綺麗に管理されています。

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 脇にはプールの跡が。校庭を固めるローラー(コンダラという)も41年間このままここにあったのでしょうか。

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 鬼石の少し下流に八塩温泉があります。宿泊施設が3軒ほどの、温泉街も形成していない小さな温泉地です。この神水館は日帰りの場合、予約制の食事付きプランとなるので、当日の入浴のみは受け付けていませんでした。かなり高級感溢れる宿です。

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 しかし裏に回ると……見てはいけません。
 他に八塩館という大型ホテルもありしたが、そこも日帰り入浴不可。それもそのはず、ここ八塩温泉は源泉温度の低い冷鉱泉なのでボイラー炊いて加温しなければならないのです。常に加温し続けていては、燃料費がバカになりません。

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 そんな中、一軒だけ日帰り入浴を受け入れている宿がありました。鬼石観光ホテル。見た目がすごい!朽ちかけている!

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 建物の外観はかなり老朽化が進んでいますが、部屋の内装は綺麗にリフォームしているようです。さらに掃除も行き届いており、清潔感が保たれています。浴槽も毎日しっかり洗われているようで、管理が徹底しています。そして何より24時間入浴可能なのが有り難い。6.2度の冷鉱泉なのに!

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 泉質はナトリウム―塩化物・炭酸水素塩冷鉱泉。古い地層に含まれている海水が素となっているので、塩分濃度が高いです。それを加水加温、循環濾過。ダバダバと流れているのは循環湯で、お湯はオーバーフローせずに湯口辺りにあると思われる取水口に流れています。表面に浮いた温泉成分のアブラが流れずに漂っており、鮮度はイマイチ。それでも泉質は良さそうで、汗が止まらないくらいホカホカになりました。悪くないです。

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 しかし、神流川を渡った埼玉県側。2001年に一軒の日帰り入浴施設がオープンしました。この白寿の湯。歴史の古い八塩温泉に対して温泉が出ていなかった埼玉県児玉郡神川町で、地下約700mまでボーリングを掘って見事掘り当てたのです。
 このお湯(冷鉱泉)がまた素晴らしく、伊香保赤城温泉に匹敵する真っ茶っ茶で濃いいナトリウム・塩化物強塩泉で、溢れ出るお湯により広い洗い場の床が赤城温泉御宿総本家のような鍾乳洞状態になっているのです。広い内風呂、露天、ともに常時冷鉱泉が掛け流され、加熱しながらの循環濾過で41~2度に保たれています。多少井戸水で加水されていてもそれは源泉が濃すぎるためなので全く気にならず、こんな所にこんな素晴らしいお湯が有ったのかと驚ろかされます。しかも入浴料750円と安く、駐車場は平日の午前中にも関わらず七割が埋まる盛況ぶりでした。人が多かったので内部は撮れなかった。
 神流川の南岸は高崎線の本庄から埼玉県神川町までの県道を東武グループ朝日交通の路線バスが走り、北岸は新町より国道を日本中央バスの路線バスが鬼石、さらには下久保ダムの奥、上野村まで走っています。つまりこの辺りは町が神流川ではっきり分断されているような形となっており、そう考えると鬼石側に昔からある八塩温泉は、完全に客を奪われた形となってしまいました。
 源泉は違えども八塩のお湯は決して悪く無いんです。しかし現代のニーズに合った日帰り入浴というスタイルとズバ抜けた泉質により、明暗を分けた形となってしまいました。
 ちなみに、八塩温泉のバス停には大きな藤岡市の観光マップが掲げられており、白寿の湯は橋を渡って歩いて10分ほどにも関わらず一切記載されていません。