昭和20年2月、まだ未完成だった茂原海軍航空基地に第二五二航空隊が本部を置きました。時すでに戦局は悪化しており、完成を待たずして開設となった訳です。仮ではあるが昭和18年完成とされていますが、終戦の時点でも工事は続けられていたとか。

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かつての滑走路跡。右手には三井化学の工場が広がっています。飛行場建設が決定したのは昭和16年7月。ここ東郷地区の住民約150世帯及び、東郷小学校や寺社ならびに墓地等が安い売却額で強制移転を命じられました。

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周辺には多くの掩体壕が残されています。掩体壕とは当ブログでも何度か取り上げて来ましたが、空襲から航空機を守るための格納庫。分厚いコンクリートで覆われ、なおかつ爆撃機に発見され辛くするようカモフラージュされていました。

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こちらの掩体壕は完全に民家の裏手になっているため、御主人に許可を取り住宅の裏へ入らせていただきました。飛行場建設には充分な重機もないまま、主に朝鮮人の徴用工などによる人海戦術で進められ、近隣の長生中学校や茂原農学校の生徒たちまで駆り出されたそうです。

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こちらの掩体壕は使われなくなった田んぼに囲まれており、あぜ道も藪で覆われているため近づけませんでした。藪漕ぎは基本的にしたくない。

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ほとんどの掩体壕が私有地にある中、こちらの掩体壕は道路に面しています。そのため唯一、案内板が設置されていました。

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こちらの掩体壕は農地を再利用したソーラーパネル発電所の中にあります。しかし掩体壕までのアプローチがわざわざ柵で区切られており、なおかつ草刈りもされていました。見学出来るように整備されているのです。

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こちらは完全に私有地ですが、隣接するアパートの敷地から見ることが出来ます。掩体壕は頑丈に造られているため解体するにも費用が掛かります。そのため倉庫や車庫として使われている事が多いです。

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住宅街の中の森で覆われた掩体壕。ほとんど自然に帰そうとしています。

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こちらも木々に覆われて形が分からなくなっている掩体壕。車庫として使われているようです。

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前面は使われなくなった水田で背後は森と民家。近づけませんでしたが、農機具などの倉庫として使われているようです。以上9ヶ所が現存していますが、これだけ多くの掩体壕が残っているのは全国でもここだけです。観光資源としての可能性を秘めながらも、なにぶんほとんどが私有地であるため難しいです。また基地としても短命で歴史的見地からも文化財指定は難しいでしょう。

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掩体壕を東から新茂原駅に向かって歩いて来ましたが、駅の反対側、内陸側の丘陵地に地下壕施設が残っているらしいので、足を伸ばしてみました。田園が終わり丘陵地に入ると、切り通しと素掘りの隧道がお出迎えです。

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これは!? と、思いましたが、覗いて見ると向こう側の民家の庭に繋がっているだけでした。

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明かりの無い素掘りの隧道は短くてもなんか怖いです。抜けた所で振り返ると、隧道の上に切り通しが。恐らく旧道でしょう。

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いきなり立派な屋敷門が現れました。若かった頃マウンテンバイクで千葉の山林を走った事がありますが、まさかの所で立派な屋敷が現れたりしてビビります。
因みに防空壕ですが、よくよく調べて見たらこの山林の奥に入り口があるらしいです。無理です。夏場に草の生い茂る山に入って行くには、それなりの覚悟と装備が必要です。

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左の籠のような物が気になりますが、かなりの旧家のようです。ALSOKのステッカー貼りまくってますが。こう言う家を一度取材して見たい気持ちもあります。

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なんたってアプローチがコレです。この先に立派な屋敷があるなんて、誰が想像し得るでしょう。こう言うところ、千葉って独特だと思うのですが。

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田園地帯に出ました。放置された水田跡なども見られますが、後継者不足で離農されてしまったんでしょうか。

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小さな集落が見えます。

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こちらも立派な屋敷門。最後はすっかり趣旨が変わってしまいましたが、レンタルサイクルでもあれば、千葉の集落なんかも巡ってみたいですね。