霞ヶ浦には2回に渡り訪れました。1度目は先々週バスで予科練平和記念館へ。2度目は昨日、土浦駅前からレンタルサイクルを借りて。目的地である美浦村の遺構までの交通手段が無く、バスで江戸崎まで行きタクシーなんてのも考えましたが、土浦駅のレンタルサイクルがロードバイクやクロスバイクなども借りれると言う事で、思い切って長距離サイクリングにしました。
Hellocycleと言う物なんですが、これが登録すれば首都圏を中心とした一部地方都市の基地で、早朝から自由に借りれると言う優れ物。アプリで手続きするとオンラインで繋がっている自転車の鍵が外れ、1日2000円の利用料はカード又はdocomo払いという。地方公共交通機関が衰退した現代、これは無免トラベラーとしては非常にありがたいですし、どんどん広げて行って欲しいです。

と、余談はここまでにして本題。

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土浦から霞ヶ浦南岸を東に走って行きます。予科練平和記念館を越えた辺り、以前より気になっていた場所へ。ここは、霞ヶ浦湖底の土砂や泥を浚渫船で汲み上げ、沖合いの浮島に停泊する船から陸地へと揚げるという物。ポンプによってパイプを伝い大量な土砂が運ばれています。浮島までの軌道とトロッコは、浚渫船まで機材等を運び込むための物でしょうか。

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陸地では土砂を大量の水で洗い、かつ選別しています。干拓事業として利用され、水田や蓮根畑などが広げられて行きます。

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さらに東へ行った所に、同様の施設の廃墟が有りました。

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こちらはもう使われていない選別場です。

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沖合いには既に使われなくなった廃船が打ち捨てられています。

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そんな物を見ながら、かつ向かい風に体力を奪われながら到着したのが、美浦村の湖岸(東側)。かつてこの浜より水上機が進水し、訓練を重ねて行ったそうです。当時のコンクリートは東日本大震災で破損したため新たなコンクリートで埋められてしまいました。現在はモーターボートやマリンスポーツの基地となっています。

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基地の建設は霞ヶ浦海軍航空隊の水上班が土浦航空基地より移転して来た昭和13年。この水上班、霞ケ浦航空隊安中水上隊は昭和20年5月、練習航空隊の指定を解除され鹿島北浦派遣隊となったため、この遺構は鹿島海軍航空隊跡と呼ばれています。航空隊の庁舎跡は戦後、東京医科歯科大学附属病院霞ヶ浦分院として再利用されていましたが、その病院も平成9年に閉鎖されてしまい廃墟化。

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つまりこれは廃病院という事になり、有名な心霊スポットにもなっていました。現在では厳重な柵に囲まれています。

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立入禁止&藪に阻まれ近づけませんでしたが、教練所跡の奥に見えるのはボイラー室。これらの建物も病院の施設として使われたとの事です。またかつてここには兵舎跡を利用した木造の病棟があり、スピッツ「空も飛べるはず」のPVのロケ地にもなっていましたが、その病棟は残念ながら取り壊されてしまいました。カラオケ歌う時にその映像が流れ、ここ行ってみたいと常々思っていたのですが、非常に残念です。

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格納庫跡の隣には発電施設跡も残っています。土浦から二時間近くペダルを漕ぎ続けて来たので藪を漕ぐ体力なんて残ってません。

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こちらは便所の跡と言われていますが、貯水槽に建つポンプ室という説も。

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ふんどしを干していた所と言う説が。

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庁舎(病院)跡の向かいには倉庫が有りますが、こちらの詳細は不明。

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倉庫からさらに湖寄りに入った所にある遺構には、記念碑か有ります。

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記念碑のある建物は燃料庫跡。火気厳禁だからコンクリート造なのでしょう。

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沿岸には当時使われていた船着場も残っています。

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基地の跡地は岬のようになっており、東と南を霞ヶ浦に面しています。なので東と南それぞれにコンクリートで固めた傾斜(スリップという)があります。こちらは南面のスリップ。水上機とはつまり(主に)複葉機の車輪部分にデカい浮きを付けたもので、偵察や哨戒が主な任務とされていました。ちなみに飛行艇も配備されていたかどうかは定かではありません。

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南東の突端部にはカタパルトの台座跡が残っています。

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トラス構造のクレーンみたいな物が、湖に向かって伸びていました。子供の頃、戦艦大和のプラモデルを作っていた時、艦尾にこのカタパルトを付けた記憶が有りますが、アレです。プラモ作った人しか分からないかも知れませんが、大和には偵察機や観測機など6機の水上機が搭載されていました。ここでカタパルト発進の練習をしていたのですね。

この後、前の記事に載せた霞ヶ浦海軍航空隊基地跡に向かう訳ですが、追い風で快調に飛ばすも雨に降られるという不幸が。