文京区本郷は高台にあるため関東大震災や東京大空襲による火災の火の手が及ばず、多くの木造建築物が残っています。今回は地下鉄南北線東大前から西片、本郷と散歩して行きました。

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 東大前駅から地上に出てみると、さっそくモザイクタイル貼りの円柱が出迎えてくれました。

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 一歩路地を入れば高台ゆえの高級住宅街。木造建築物とは言えかなり凝った意匠で造られています。

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 庭付き、蔵付きの日本家屋は震災や戦乱を生き延びてきた旧家と言ったところでしょうか。

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 同時にこのあたりは東大も近いため、下宿屋も多く存在しました。

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 かなり古い長屋造りが、二棟並んで残っていました。

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 こちらは商家のようですが、何の商いをしていたのかは不明。

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 明治から下宿屋として存在し、昭和から旅館業に切り替えたという、鳳明館、森川別館。安く泊まれるという事で外国人観光客に人気だとか。この鳳鳴館の向かいに、かつて明治建築の下宿屋本郷館が建っていましたが、つい最近新しく建て替えられてしまいました。実に残念。

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 鳳明館の斜向かいには大正4年造の求道館が建っています。こちらは関東大震災の際に内部が崩落し、再建する費用もままならないためおよそ50年もの間廃墟だったところ、平成に入り都の有形文化財に指定されたため公的資金によって再建されたそうです。またこの求道館という宗教法人は、明治末期浄土真宗の僧侶が立ち上げた宗教で、教会のような建物の中には阿弥陀様が祀られているとか。実に興味深いです。

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 こちらは春日駅近くに建つ鳳明館本館。

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 隣には鳳明館合町別館も建っており、共に有形文化財に指定されています。このような住宅街の中にひっそりと建っている老舗旅館て、泊まる人がいるのかずっと疑問に思っていました。しかしどうやら大学関係者の団体などが利用しているようで、つまり紹介やコネクションがあるため生き残っているのではないかと見られます。

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 本館の斜向かいには鳳明館寮という木造建築物が建っています。詳細は不明ですが、鳳明館に住み込みで働く人が住んでいるのか、本来の下宿屋業として残っている建物なのか。

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 こちらは樋口一葉ゆかりの地として保存されている有形文化財、伊勢屋質店跡です。樋口一葉が生活苦だった頃、よく駆け込んでいた質屋さんだとか。たまたま内部が公開されていたので見学させていただきましたが、明治建築がそのままほぼ手付かずの状態で保存されており、非常に見応えがありました。撮影禁止だったのが残念ですが、何が凄いって天井に張り巡らされたガイシと電線。これは今時ここでしか見れないんじゃないでしょうか。一見の価値ありです。