大田区には天然温泉に入れる共同浴場、つまり銭湯が数多く点在しています。その中でも特に集中している蒲田周辺を巡って行きます。

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 JR蒲田駅を東口へ渡り、左手に進むと微妙な歓楽街があります。上の写真はその中に残るモザイクタイルが見事な建物。

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 歓楽街を抜けて川を渡ると人通りも疎らな住宅街に入り、その中に『ゆ~ランド蒲田』があります。天然温泉に入れる健康ランドですが、銭湯として住民たちに愛されています。

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 JR蒲田駅と京急蒲田駅の間から環八を越え、郵便局の角を入り南へと歩いて行くと、バス通りにもなっている商店街が真っ直ぐ続いています。右手にはJRが、左手には京浜急行が併走し、京急の雑色駅、六郷土手駅と続きます。

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 通りを歩いてすぐ、左手に入った所に温泉銭湯の『蒲田温泉』があります。ここは実際入浴してみました。土曜日の午後でしたが、中は常に10人以上入っている盛況ぶり。二階の休憩所では様々なお年寄りたちの集まりが開催されています。
地図
https://goo.gl/maps/3Yh5M

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 お風呂は東京独特の黒い重曹泉。ナトリウム炭酸水素塩・塩化物鉱泉を薪のボイラーで加温したお湯はサラサラしており、あまり特徴を感じられない浴感。しかししばらく浸かっていると汗が全く止まらなくなり、大変な事に。効能はこのデトックス効果のおかげかと思えるくらいの発汗作用。42度と46度の浴槽の他にサウナ、ジェットバス、噂の電気風呂まであります。

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 蒲田温泉から商店街を更に進むと、雑色の駅前アーケード商店街と交差します。この辺は大田区によく見られる下町の雰囲気が残っており、商店街も買い物客で非常に賑わっています。

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 バス通りをさらに南下した先を右手に入った所に『ヌーランドさがみゆ』があります。なかなか近代的な施設なので、外観を撮影したのみでスルー。

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 やがてバス通りが京急と交わって終了する辺りまで行くと、上手いんだか上手くないんだか微妙な文字が。

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 マンションの一階に、天然温泉『照の湯』があります。中は下町の銭湯といった雰囲気で、地元の子供たちの絵が飾られていたりして地域密着といった感じ。

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 お湯は大田区でもポピュラーな黒湯ですが、露天風呂で楽しめます。露天と言っても竹垣で囲まれ屋根もしっかりある、隙間風が通る内湯って感じです。冷鉱泉を加温、循環濾過していますが、同時に冷たい源泉がチョロチョロと掛け流されており、他と比べるとなかなかの鮮度と濃さ。ただ浴槽は浅く背筋を伸ばすと乳首辺りの水位しかありません。
 また露天風呂以外に、小さい浴槽ですが加温無しの、そのままの冷鉱泉にも入れます。温度計は22度となってますが、まさに水風呂の冷たさ。夏場かサウナ上がりでないとなかなか辛いですが、源泉がダバダバと掛け流されているじゃありませんか。実にありがたい。

地図
https://goo.gl/maps/vTse2

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 さらに線路沿いを多摩川の手前まで南下すれば京急六郷土手駅へと出ます。その程近く、住宅街の中に六郷温泉があります。

※六郷温泉は残念なことに老朽化のため、2016年1月31日をもって廃業してしまいました。

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 建物はなかなか昭和感たっぷりの木造モルタル建築。浴場内の天井や壁は白や水色のペンキが厚塗りされた板貼りで、昔ながらの銭湯といった雰囲気満点です。お湯は蒲田温泉と同じ真っ黒な重曹泉。しかし六郷温泉の方が若干、何とも表現し難い独特な匂いがします。

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 湯船は熱めと温め、ジャグジー、サウナ。そして更に、加温加水無しの源泉100%の浴槽があります。温度は26度ですが、入ると完全に冷水。普段は勿体ないという理由から止められていますが、入浴中は蛇口を開いて源泉掛け流しにして良いという事になっています。水面には何か浮遊物が沢山浮いております。入る人が殆ど居ないからカスが浮いているのかと思いましたが、洗面器に掬ってみるとそれは真っ黒で、どうやら湯の華のような温泉成分のようです。ただ、コーヒーのような真っ黒な水面に浮いていると見た目あまり良くないので、掛け流しにして溢れてさせて浴槽外に流し出しました。なんか、廃工場裏の湿地にある水溜まりのようなイメージ。(笑)
 浴感はサラサラしているのですが、立ち昇る匂いのためか、なぜか鼻と喉がスースーして来ます。冷たさに慣れて来ると、肌を包む微かな刺激とミントガムを噛んだような感覚にすっかりハマってしまい、加温浴槽と源泉浴槽を行ったり来たりしていました。

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 出るとやはり汗が止まらなくなります。しかしこの銭湯、源泉浴槽も良いし建物も雰囲気も最高で、すっかり虜になってしまいました。機会があれば、また入りに来たいです。

※2016年11月再訪時。

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 そんな魅力的な温泉でしたが、その後解体されマンションが建てられてしまいました。


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