午前中に仕事が終わり昼下がり、そうだ、熱海に行こう。と思い立ち、衝動的に行ける気軽さが熱海にはあります。
 寂れた観光地の雰囲気や廃墟や昭和の町並みを想像しながらバスタオルとカメラだけを持ち、四時頃に家を出て各駅停車。熱海に到着した時には既に陽も落ちた午後六時。駅前は暗く店のシャッターは降ろされており、人の気配すらしません。さて、宿を観光案内所で探して貰うつもりでしたが、観光案内所のシャッターまで降りている。午後五時営業終了て、なんたるやる気の無さ。‌‌仕方なく安い宿を求めて駅から市街地へと坂を下って行きました。
 JR熱海駅は山の中腹に張り付いており、海沿いにある中心街までは急な坂道を下り続けて行かなければなりません。‌‌
 坂を下り始めた時にふと、『竜宮閣』と言う非常に古い温泉宿が目に入りました。ちなみに写真は全て翌朝に撮影した物です。‌‌

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 飛び込みで入ったところ、素泊まり一名五千五百円と、まあまあリーズナブル。

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 玄関の造りの古さにも惚れ込んでしまい、即決。聞けば戦前の建物だそうで、もはや文化遺産レベルです。‌‌

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 いたるところが昭和の熱海。‌‌

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 宿泊施設で今どきこれは無い!でも嬉しい!

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 部屋には一段高い位置に展望台のような小部屋があり、以前は花火大会なども一望できたとか。‌‌

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 しかし現在では巨大なリゾートマンションが建ちはだかり、海すら見えなくなってしまいました。‌‌

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 お風呂は貸し切り制でふたつ。広いとは言えない浴槽と、えらい小さな浴槽。

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 しかしながら路地を挟んだ隣の源泉からダイレクトに引いており、源泉掛け流し百パーセントの良いお湯でした。‌‌熱海は温泉湧出量に対する宿泊施設の建設過剰により、循環や加水などをしている宿も多いのです。‌‌

※以下の記事は2015年の秋に熱海を再訪した時の記事になります。

 観光案内所でゆっくり休憩のできる日帰り入浴施設を探してみたところ、日航亭大湯さんを紹介していただきました。

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 ここが、昭和の熱海の雰囲気を残す元温泉旅館でした。

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 素晴らしい建物です。建物の老朽化を理由に宿泊業務をやめて日帰り専門に切り替えてから、もう随分経つそうですが、実にもったいない。

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 お風呂は離れになります。

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 広い内湯、露天、共に源泉100%掛け流し。源泉温度が92度と高いため、加温無しです。

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 露天と言っても屋根付きの半露天ですが、秋の風が実に心地良い。源泉は安保泉(熱海23号泉)で、ナトリウム・カルシウム・塩化物泉。熱海特有の舐めると非常にしょっぱいお湯です。内湯と露天の間でお湯を循環させる事によって、露天が冷め過ぎないよう工夫されてました。

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