無番地。つまり登記されていない土地です。
 ここは関東に現存する、数少ない不法占拠地帯のひとつでした。彼らの部落は地元の人しか知らないような場所にあり、情報は極めて少ないです。一説によれば戦前、多摩川河川敷の砂利を取る仕事をしていた人々が住み付いたとか。

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 この戸出無番地は多摩川沿いの道路に面した再生紙工場『木下』の裏手に、守られるように存在します。敷地内には他に小規模な鉄工所と研磨工場、ファスナー工場があるようです。

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 川沿いの道からは見えないようになっており、土手の上に登って初めてその部落を発見できるという、現代の隠れ里。

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 しかし、不思議な事に近年、土手と川の間、つまり河川敷に中高層マンションが林立し始め、川を遡るようにして徐々に開発がこの部落へと迫って行きました。以前訪れた際には多摩川スーパー堤防という公共事業が名目の工事だったのが、すっかりマンション建設ラッシュです。そして一昨年あたりでしょうか、ついに退去。部落のほとんどが消えてしまいました。話によれば退去した住民は近くの公営住宅に引っ越し、市から補償金2700万を受け取ったとか。

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 現在では工場の敷地と木下邸周辺の数軒の民家、それと教会を残すのみとなってしまいましたが、総トタン板貼りのバラックと、張り巡らされた狭い私道が当時の姿をとどめております。この木下なる人物と在日との関係などは不明。

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 今でこそ韓流ブームなども起こるような平和な時代ですが、差別や確執などと言った黒い戦後史の形跡を、この朝鮮部落の存在は色濃く残しております。(撮影・2011年12月)

※2015年5月23日再訪

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 鹿島田から亀甲マーケットを訪れた際、その流れでバスを途中下車して久々に再訪しました。
 河川敷マンション開発は、以前訪れた時点で止まっているようです。木下の所有地として登記したのかは謎ですが、工場の敷地にまでは侵攻して来ず、全滅は避けられたようです。

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 逆V字型の屋根が斬新!

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 ちょっとだけ近づいて見ました。

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 行けません。これ以上奥まで入って行ったら、たとえ不法占拠された土地であっても明らかな不法侵入です。

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 ここまでにしときます。ここから先は治外法権ですから。

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