北海道は、旧松前藩の領地以外は開拓地である。その殆んどの都市は綺麗な碁盤の目に区画されており、アメリカなどもそうなのだろうかと夢想させる。広大でかつ平坦な原野があり、ゼロから造られた都市だからこそ、このような合理的な区画が可能だったのだろう。

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 しかしながら合理的であるがゆえに味気無く、情緒を感じられない。日本人としては、やはり山河と里に郷愁を感じるもので、山は崩さず土は掘り返さない自然の地形に準じた町並みこそ馴染み深い。たとえ遠回りしても、山を迂回し谷を越える。日本の国土の殆んどが山であり、僅かな平地や海岸線に身を寄せるように暮らして来た民族だからこそである。

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 そんな事を考えさせるのが北海道の街。日本各地から屯田兵として集まった人々が開拓した土地だからこそ、地生えの風俗の無い混沌とした多民族国家の様相を呈するのである。尤も、海外に行けば簡単に痛感できる事なのかも知れないが。

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 ガイドブックなどで有名な運河沿いの倉庫。石造りの倉庫がたくさん並んでるのですが、よく見れば運河に面した壁だけが古く、中身はレストランなどの観光客向けの真新しい施設となってました。なんだか張りぼてとか映画のセットと言った印象があります。

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 運河の向かい側、国道沿いになりますが、恐らくは昔ここも運河に面しており、埋め立てられたのではと想像できます。

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 歴史的建造物。商業都市の名残り。このような建物が街の至るところに残っております。

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 それはさておき北酒場。そう、リアル北酒場なのである。小樽東部に広がるスナック街は尋常じゃない広さと軒数を誇る。そんなに人居ないのに。
 北前船に始まりニシン漁や石炭の積出港などとして栄華を誇っていたのも昔の話。当時は石炭運搬のため、新橋~桜木町間に続き日本で二番目に鉄道が開通した程の大都市でした。霞ヶ関や丸ノ内を小さくしたような、国のあらゆる機関や巨大資本も集まっていたビル群も、今では史跡として当時の栄華を偲ばせるばかりで、現在では観光都市としてしか産業が無くなってしまいました。

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 海に向かうなだらかな斜面に碁盤の目の街路が敷かれており、非常に特徴的な景観を見せている。ただ、冬場の路面凍結を考えると恐ろしくもある。

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 そんな街の一軒のスナック。飛び込みで入ったが、良い店でした。昭和のダンディー親父がふらふらと、出て行っては戻って来たり。ママの人柄が良いため、港町の男たちも通い詰める。カラオケは当然ながらムード歌謡と演歌の二択。北の酒場で北酒場を歌う!

撮影・2009年1月